2.アメリカンポップス黄金時代 1950年後期~1960年代初期

  1. ブリル・ビルディング・サウンド(Brill Building Sound)
  2. ウォール・オブ・サウンド(Wall Of Sound)
  3. レッキング・クルー(The Wrecking Crew)
  4. モータウン・レコード(Motown Records)
  5. モータウン・サウンド(Motown Sound)

2.アメリカンポップス黄金時代 1950年後期~1960年代初期

B.音の壁-ウォール・オブ・サウンド(Wall Of Sound)


フィル・スペクター(Phillip Spector)はアメリカの音楽業界で数多くのプロデューサーを発掘した、レスター・シル(Lester Sill )に見いだされ、当時レスター・シルが後見人をしていた、ジェリー・リーバー&マイク・ストーラー(Jerry Leiber and Mike Stroller)のアシスタントにつくためにニューヨークに来て、プロデューサーの勉強をしていました。(当時、リーバー&ストーラーは、アトランティックレコードのプロデュース・チームとして活躍)

その後、アトランティックレコードのA&R※1を経て、ブリルビルディングでの様々なことを吸収したフィル・スペクターは、ニューヨークに戻り、レスター・シル(Lester Sill )と共同で、レコード会社、兼、音楽出版社の「フィレス・レコード(Philles Records) を設立。
※1 A&R…レコード会社の職務の1つ。「アーティスト&レパートリー」の略語。シンガーやソングライターを発掘、結びつける仕事。日本でいうディレクターに近い仕事。

プロデュースしたザ・ロネッツ(The Ronettes)の「ビー・マイ・ベイビー(Be My Baby)」「ベイビー・アイ・ラヴ・ユー(Baby, I Love You)」、クリスタルズ(The Crystals)の「ヒーズ・ア・レベル(He’s a Rebel)」「ダ・ドゥー・ロンロン(Da Doo Ron Ron)」などが大ヒット。
ポップス黄金期に一時代を築きました。

フィレス・レコード 主要アーティスト
ロネッツ(The Ronettes)

  • ビー・マイ・ベイビー(Be My Baby)
  • ベイビー・アイ・ラヴ・ユー(Baby, I Love You)
  • ザ・ベスト・パート・オブ・ブレーキン・アップ(The Best Part Of) Breakin’ Up
  • イズ・ディス・ホワット・アイ・ゲット・フォー・ラヴィン・ユー?(Is this What I Get For Loving You?)
  • アイ・キャン・ヒート・ミュージック(I Can Hear Music)

The Ronettes
クリスタルズ(The Crystals)

  • ゼアズ・ノー・アザー(ライク・マイ・ベイビー)-There’s No Other (Like My Baby)
  • ヒー・ヒット・ミー(イッツ・フェルト・ライク・ア・キス)-He Hit Me (It Felt Like a Kiss)
  • ヒーズ・ア・レベル(He’s a Rebel)
  • ダ・ドゥー・ロンロン(Da Doo Ron Ron)
  • ゼン・ヒー・キスド・ミー(Then He Kissed Me)

The Crystals
ボブ・B・ソックス&ザ・ブルー・ジーンズ(Bob B. Soxx And The Blue Jeans)

  • ジッパ・ディ・ドゥーダ(Zip-a-Dee Doo-Dah)
  • ホワイ・ドゥー・ラヴァース・ブレイク・イーチ・アザーズ・ハート(Why Do Lovers Break Each Other’s Heart?)
  • ノット・トゥ・ヤング・トゥ・ゲット・マリード(Not Too Young to Get Married)

Bob B. Soxx And The Blue Jeans
ダーレン・ラヴ(Darlene Love)

  • カッコいい子が見つかった-(Today I met) The Boy I’m Gonna Marry
  • ボビーが帰ってくるまで(Wait Till My Bobby Gets Home)

コーラスグループ「ブロッサムズ」での活動をフィルスペクターに見いだされ、クリスタルズの 「ヒーズ・ア・レベル(He’s a Rebel)」「HE’S SURE THE BOY I LOVE」のリードボーカル、ボブ・B・ソックス&ザ・ブルー・ジーンズ(Bob B. Soxx And The Blue Jeans)のボーカルなどの裏方を経て、やっとソロとして出したシングル。


Darlene Love
ライチャス・ブラザーズ(The Righteous Brothers)

  • ふられた気持(You’ve Lost That Lovin’ Feelin’)
  • ひき潮(Ebb Tide)
  • ジャスト・ワンス・イン・マイ・ライフ(Just Once in My Life)
  • アンチェインド・メロディ(Unchained Melody)

ブルー・アイド・ソウルの代表格。
アンチェインド・メロディ(Unchained Melody)のオリジナルは、1955年のアメリカ映画「アンチェインド(Unchained)」で、出演者のトッド・ダンカン(Todd Duncan)によるもので、ライチャス・ブラザーズ(The Righteous Brothers)バージョンは、1965年全米4位、1990年公開の映画『ゴースト/ニューヨークの幻』に使用され、リバイバル・ヒットした。


The Righteous Brothers
アイク&ティナ・ターナー(Ike & Tina Turner)

  • RIVER DEEP-MOUNTAIN HIGH(リバー・ディープ・マウンテン・ハイ)

フィル・スペクターがティナ・ターナーのレコードを作りたいと熱望し、高額なギャラをを積んで、長い時間と莫大な費用を費やして作成した一曲。フィル・スペクターからの条件は、アイクがスタジオに一切はいらない、という条件だった。アメリカでの評判は悪かったが、イギリスから人気に火がつき、大ヒットとなった。


Ike & Tina Turner



「音の壁-ウォール・オブ・サウンド(Wall Of Sound)」と呼ばれる独特な分厚い音作りは、当時は非常に珍しいものでした。

当時の通常のレコーディングは、リズム楽器は一台ずつしか使いませんでしたが、フィル・スペクターはそれぞれを複数用意し、それぞれをユニゾンで演奏させ十分な音量と音圧を得ようとしました。そして、基本のバックトラック(リズムトラックとホーントラック)はすべて一発取りで行っています。

独特なエコーのほとんどが、エコー効果をかけたのではなく、録音をしたゴールドスター・スタジオ(Gold Star Studios)の特徴で、小さなスタジオで、何十人ものミュージシャンが一気に演奏するため、本来拾いたくない音も拾ってしまい、それを防ぐ技術が当時はなかったことが、かえってあの独特なサウンドを生み出した要因となりました。

Gold Star Studios and The Wrecking Crew

また、ステレオでのレコーディングが浸透していた時代に「バック・トゥ・モノ(Back To mono)」をうたい、モノラル録音にこだわった手法も、分厚い音作りの欠かせないものであり、この「ウォール・オブ・サウンド(Wall Of Sound)」という音作りの手法は、この後のミュージシャンに大きな影響を与えていきます。



この音作りを支えた、プロの演奏家集団が、「レッキング・クルー(The Wrecking Crew)」です。

2-A.ブリル・ビルディング・サウンド(Brill Building Sound)<<


2.アメリカンポップス黄金時代 1950年後期~1960年代初期

  1. ブリル・ビルディング・サウンド(Brill Building Sound)
  2. ウォール・オブ・サウンド(Wall Of Sound)
  3. レッキング・クルー(The Wrecking Crew)
  4. モータウン・レコード(Motown Records)
  5. モータウン・サウンド(Motown Sound)