5.サーフィン・ホットロッド-1960-1964年

  1. アメリカ-サーフィン・サウンドの始まり
  2. ビーチボーイズ(The Beach Boys)の登場
  3. プロデューサーとソングライターたち

5.サーフィン・ホットロッド-1960-1964年

A.アメリカ-サーフィン・サウンドの始まり

Dick Dale

南カリフォルニアでは、ハワイから入ってきたサーフィンというスポーツが若者のスポーツとして定着。当時人気のあったギターインストブームと結びついて、そのサーフィンの疾走感を音で表現した、インスト音楽がヒット。サーフィン・インストブームが始まります。

きっかけを作ったのは「ディック・デイル(Dick Dale)」というギタリストでした。

ディック・デイル(Dick Dale)の特徴は、彼独自のギターの演奏法にあります。

低音の弦を強いピッキングで早弾きし、トレモロで波のうねりのような音を表現。
さらに当時、フェンダーのアンプにだけあったリバーブを極限までかけ、水がはねるような音色を演出。デイルはこの演奏法を「サーフィン・サウンド」と表現しました。

※ デイルはレオ・フェンダー(Clarence Leonidas Fender-フェンダー社創業者)とともに、スプリングリヴァーブを開発。

この演奏が、ディック・デイルとデルトーンズ(Dick Dale & His Del-Tones)と名乗ってハウスバンドとして演奏していた地元、バルボア岬にある「ランデブー・ボールルーム(Rendezvous Ballroom)」で人気を呼び、地元サーファーからの圧倒的な支持を受けます。(彼自身がサーファーであったことも人気の要因の一つといわれています)

Let’s Go Trippin’

1961年 デイル自身で作曲した「レッツ・ゴー・トリッピン(Let’s Go Trippin’)」を発売。
全米ではチャート60位とふるわなかったが、南カリフォルニアというローカルレベルでの人気はものすごく、その後も「ミザルー(Misirlou)」「サーフ・ビート(Surf Beat)」「ザ・ウェッジ(The Wedge)」など、名演を残します。

ディック・デイルのこのローカルヒットは地元のガレージバンドに大きな影響を与え、南カリフォルニアでは、次々とサーフミュージックバンドが結成されます。

特に南カリフォルニアはフェンダー(Fender)の工場があり、安価なギターやアンプが手に入りやすい環境でもありました。
さらに、西海岸には当時インディレーベルが無数にあり、自分たちでなんとかお金を集めれば、自費出版で何百枚かのレコードがプレスできる環境もありました。

この頃、数えきれないほどのガレージバンドが、自主制作でレコードを出しましたが、ほとんどは地元でのヒットもできないものでしたが、その中で、全米チャートに食い込むバンドもいくつか現れます。

全米チャートにあがったバンド
ザ・シャンティズ(The Chantays)

  • 「パイプライン(Pipeline)」1962年全米4位
ザ・サーファリズ(The Surfaris)

  • 「ワイプ・アウト(Wipe Out)」1963年全米2位
ザ・ピラミッズ(The pyramids)

  • 「ペネトレイション(Penetration)」1963年全米18位
全米的なヒットはなかったけれども、地元で注目をあつめたバンド
ザ・ギャンブラーズ(The Gamblers)

  • 「ムーン・ドーグ(Moon Dawg)」
ザ・ライブリーワンズ(The Lively Ones)

  • 「サーフ・ライダー(Surf Rider)」
デイブ・マイヤーズ&ザ・サーフトーンズ(Dave Myers And His Surf-Tones)

  • 「Moment of Truth(モーメント オブ トゥルース)」
ザ・センチネンタル(The Sentinals)

  • 「ラティーナ(Latin’ia) 」

ドラマーのジョン・バーベイタ(John Barbata)は後にタートルズ(The Turtles)を結成

この頃には、ローカルな人気だった「サーフィン・ミュージック」に目を付け、インディレーベルが自主制作したレコードを買い付ける会社が出てくるようになり、少しずつ「サーフィン・ミュージック」は全米に飛び火していきます。

既に人気のあったインストバンド、ヴェンチャーズが「サーフ・インスト」をレコーディングしたり、既存のアーテストに「サーフミュージック」を実験的に演奏させたり(アストロノウツ-ムービン、バハ)、音楽プロデューサーがスタジオミュージシャン(レッキング・クルーなど)を使って、架空のサーフバンド、「ザ・ルーターズ(The Routers)」、「ザ・マーケッツ(The Marketts)」、「ザ・ホットドッガーズ(The Hot Doggers)」としてレコーディングしたものを発表するなどの動きが起りました。

このとき、サーフィン・ミュージックは、ディック・デイルから始まったことも影響し、ギターサウンドがメインなインスト・ミュージックでした。
サーフィン・ミュージックは、インストブームという土台があったからこそのブームでしたが、このサーフィンミュージックの人気が全米に飛び火した時には、すでにインストブームは一過性のブームとしてかげりをみせはじめていました。
時代はまだまだアイドルの歌ものの時代でもありました。

しかし、1961年、ローカルから始まった一過性で終わりそうなサーフィンミュージックを、大きく飛躍させたグループが登場します。

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5.サーフィン・ホットロッド-1960-1964年

  1. アメリカ-サーフィン・サウンドの始まり
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