5.サーフィン・ホットロッド-1960-1964年

  1. アメリカ-サーフィン・サウンドの始まり
  2. ビーチボーイズ(The Beach Boys)の登場
  3. プロデューサーとソングライターたち

5.サーフィン・ホットロッド-1960-1964年

B.ビーチボーイズ(The Beach Boys)の登場


Hot rod magazine

Hot rod magazine

ビーチボーイズ(The Beach Boys)の登場はいままでのサーフミュージックにもう一つの流れを作りました。

それまでのサーフィン・ミュージックは、ほとんどがギターなどの音色で、サーフィンのライド感を表現するガレージ感の強いものでしたが、ビーチボーイズの登場は、サーフ・ミュージックに、若者のライフスタイルそのもの(サーフィン・車-ホットロッド、女の子)を歌い込んだ歌詞を持ち込みました。

※ ホットロッド(Hot rod)とは、この時期若者に大流行した強力なエンジンに付け替えたり、派手なペイント絵を施した改造車のブームのこと。海に乗り付けるにはかっこいい車、ということで、カリフォルニアではサーフィンとワンセットのブームでした。

特にビーチ・ボーイズの特徴である爽快感のある美しいハイ・トーン・コーラスは、ウィルソン3兄弟の長男、ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)が幼いときに感銘を受けたモダン・ジャズ・コーラスグループ「 ザ・フォー・フレッシュメン(The Four Freshmen)」を参考に、自分の兄弟達と日夜4パート・ハーモニーを重ねていたという筋金入りのコーラスで、他のグループから群を抜いていました。

The Beach Boys

1961年にマイナーレーベル「エックス」から「サーフィン(Surfin’)」を発売(後にエックスの供給力不足のため、キャンディックス-Candixからも発売)。

「ビルボードホット100」の75位まで上昇するヒットとなり、その後、ウィルソン兄弟の父マレーの手によって大手レコード会社、キャピトル(Capitol Records)への売り込みに成功。キャピトルからの第一弾シングル「サーフィン・サファリ(Surfin’ Safari)」が全米14位。
その後、セカンドアルバム「サーフィンUSA(Surfin’ USA」が全米2位。という快進撃を続けます。

インストブームは終わりかけていましたが、ビーチボーイズは歌ものの時代にもマッチし、全米に本格的なボーカル・サーフィン・ホットロッドサウンドブームを巻き起こします。そのブームは、海のない街でもサーフボードが飛ぶように売れたほどでした。

この快進撃は、他のレコード会社にも脅威を与えます。
しかも、ブライアン・ウィルソンのソングライター、プロデューサーとしての成長は目覚ましく、サードアルバム「サファー・ガール(Surfer Girl)」はブライアンが初めて一人でプロデュースし、全米6位を獲得。(これ以降ブライアンはビーチボーイズのレコーディングは尊敬するフィルスペクターの手法などを自分なりに消化しながら、ときにはスタジオミュージシャンをつかってセルフ・プロデュースしていくことになります。)

他のレコード会社は、ビーチボーイズに対抗するために、たくさんのサーフィン・ホッドロッドバンドを作りますが、チャートを支えたのは、ほんの一握りのバンドでした。

Jan & Dean

デビュー前のビーチ・ボーイズにホワイト・ドゥーワップで影響を与え、かつ親交を深め、ブライアンが書いた「サーフ・シティ(Surf City)」で全米1位となったポップデュオ「ジャン&ディーン(Jan & Dean) 」は、「ドラッグシティ(Drag City)」、「パサディナのおばあちゃん(The Little Old Lady from Pasadena)」、「太陽の渚No.1(Ride The Wild Surf)」「サイド・ウォーク・サーフィン(Sidewalk Surfin)」など、名演を残しています。

他に
「ファンタスティック・バギーズ(The Fantastic Baggys )」「リップ・コーズ(The Rip Chords)」「ローグス(ROGUES)」「スーパー・ストックス(SUPER STOCKS)」などの、コーラス・サーフィン・ホッドロッドグループがヒットチャートをにぎわしますが、じつは、これらは一部のソングライター、プロデューサーがスタジオで作り上げたものでした。

5-A.アメリカ-サーフィン・サウンドの始まり <<


5.サーフィン・ホットロッド-1960-1964年

  1. アメリカ-サーフィン・サウンドの始まり
  2. ビーチボーイズ(The Beach Boys)の登場
  3. プロデューサーとソングライターたち