4.ロックンロール・インスト・ブーム-1958年~1962年

  1. アメリカのインストルメンタル・ブーム
  2. イギリスのギターサウンド-RGMサウンド(RGM Sound)
  3. テルスター(Telstar)

4.ロックンロール・インスト・ブーム-1958年-1962年

B.イギリスのギターサウンド-RGMサウンド(RGM Sound)

IBCスタジオのJoe Meek

ジョー・ミーク(Joe meek)は、小さな頃から機械好きで、大学で電気工学を学んだ後、イギリス空軍でレーダー技師を経て、1953年 独立スタジオIBCスタジオに入社したという、ちょっと他のプロデューサーとは変わった経歴の持ち主です。

当然エンジニアとしての採用で、音楽の教育も特に受けたことはなく、楽器もできず、楽譜も読めませんでした。

しかし、エンジニアとして数々のレコーディングに参加することにより才能を開花。その技術力を買われ、IBCの上司でもあった、ジャズプロデューサー、デニス・プレストン(Dennis Preston)とともに「ランズダウンスタジオ(LANSDOWNE STUDIO)」を設立。イギリス発のフリーランスエンジニアとなります。

この頃から、音作りに異才を発揮、他のスタジオにはない音作りのアイデア(トイレの流水音やストローでブクブクを回転数をかえて逆再生する、など)で、短期間のうちに業界での位置を確立していきます。

RGMサウンドのレターヘッド

1960年には スポンサーを得て、自身のレーベル「トライアンフ・レコード(Triumph Records)」を設立。
しかし、出資元の生産システムがお粗末だったため、せっかくのヒット曲も配給が遅れて売れなかったとのトラブルで不信感を持ち、一年あまりで解散。

そのすぐ後、同じ「バディ・ホリーおたく」のロイヤルアカデミー音楽学校卒のジェフ・ゴダード(Geoff Goddard)と出会い意気投合、プライベートスタジオ「RGMサウンド(RGM Sound Ltd)」を設立。

トライアンフの失敗をふまえて、パイ、デッカ、HMV、コロンビアなどと、フリーで仕事を受ける「独立プロデューサー」となりました。これはイギリスで初めて築かれたシステムであり、今後、この手法が1960年代のブリティッシュロックシーンの主流になっていきます。

Geoffrey Goddard-Sky Men

RGMサウンドは小さなビルの一室を間借りして作られたため、大変小さく、録音ブースがトイレだったため、自然に独特なエコーがかかり、それをおもしろがったミークがその後の作品に多用したためミークの作り出す音楽は「バスルーム・サウンド」ともいわれました。

楽器もできず、楽譜も読めまないジョーミークにとって、じぶんの作曲した曲を表現することは困難でした。悲しいことに彼は結構な音痴でもあったので(参考音源-Portrait of a Genius: The Rgm Legacyのディスク3の2-Joe Meek – Telstar 1st Stage Demoに顕著)、自分で機械をいじって、鼻歌をテープに録音してたものを根気よく形にしてくれるジェフ・ゴダードは、ソングライターとしても、楽器の演奏者としても、とても力強い相棒でした。

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