3.イギリス-スキッフルからロックンロールへ-1955年~1960年

  1. スキッフルブーム
  2. ブリティッシュ・ロックの芽生え

3.イギリス-スキッフルからロックンロールへ-1955年-1960年前期

B.ブリティッシュ・ロックの芽生え


Oh Boy!

当然、イギリスの音楽業界がこのブームを放っておく訳もなく、エルビスのようなローカルアイドルを生み出せと、スキッフルバンドで頭角を現しているアーティストを次々とデビューさせます。

また同時期にイギリスBBS-TVのプロデューサーのジャック・グッド(Jack Good)は、この若者のブームを受けて「6・5スペシャル(Six-Five Special)」という、音楽バラエティ番組を制作。ジャック・グッドはその後民放のITVに移り「オー・ボーイ!(Oh Boy!)」「ボーイ・ミーツ・ガール(Boy Meets Girls)」など次々に音楽番組をヒットさせます。

プロモーターのラリー・バーンズ(Larry Barnes)は、こうした番組に自分が発掘し、デビューさせた、トミー・スティール(Tommy Steele)などのスキッフル出身アーティストを売り込み、どんどん出演させます。
TVの影響力は大きく、彼らは主演の映画ができるほどの人気を得ていきます。


Gene Vincent

さらに、ジャック・グッドは番組のゲストアクトにジーンビンセント(Gene Vincent)、エディ・コクラン(Edward Cochran)など本場アメリカのアーティストも呼び寄せます。

ジャック・グッドは、出演時のジーンビンセントの衣装を革のスーツ、シルバーアクセサリーなど「イギリス人が考える不良のロックンローラー」に演出。

この演出は大成功。このとき既にアメリカでは人気の落ちていたビンセントですが、しばらくイギリスでは集客力のあるパフォーマーとして評価されることになります。


こうして、ティーンエイジャーは、自分たちが憧れているアイドルがお手本にしている、本物のロックンロールに映像でも触れることになります。

また、訪英しツアーも行ったバディ・ホリー&ザ・クリケッツ(Buddy Holly&The Crickets)の影響は絶大で、ギターサウンドだけではなく、コンボで行うロックンロールの演奏の形、3コードでの楽曲作りは、この後のビートグループブームにつながっていきます。バディ・ホリーが使っていた、ストラトキャスターは、若者のあこがれのギターになります。

さらに、自国のポップスター、クリフ・リチャード&ザ・シャドウズ(Cliff Richard and the The Shadows)の出現も、ロックンロール熱を加速させます。

Cliff Richard and the The Shadows

特に、バックバンドでもあるザ・シャドウズは、クリフのヒットを支えながらシャドウズ名義のギターインスト曲「アパッチ(Apache)」「フット・タッパー(Foot Tapper)」などヒットを連発。
ザ・シャドウズの、バディ・ホリーのようなコンボ形式、リーダーのハンク・マーヴィン(Hank Marvin)の赤いストラトキャスターで奏でる爽快なギタースタイルは、イギリスのギターキッズ達を虜にし、爆発的な人気を呼びます。
彼らの登場は、ブリティッシュ・ロックンロールの誕生ともいえるものでした。

こうして、イギリスのロックンロール熱は加速し、若者は本物のロックンロールを求めるようになり、ロックンロールの模倣から始まったスキッフルという音楽自体の人気は落ちていきます。
次第にイギリスのヒットチャートに、ロックンロールが台頭するようになり、スキッフルブームは2年ほどで終焉を迎えます。


しかし、スキッフルで演奏する楽しさに目覚め、シャドウズに憧れた若者たちは、ギターをエレクトリックギターに持ち替え、ギターを中心としたロックンロールバンドを目指すようになります。


バディ・ホリー、リッチー・ヴァレンス、ビッグ・ボッパーが乗っていたチャーター機の事故の記事

イギリスにロックンロールが芽生え始めたこの頃、アメリカでは、バディ・ホリーや、エディ・コクランが事故で亡くなり、エルビスが兵役に行き、ロックンロールスターのスキャンダルが相次ぎ、ロックンロールの不良っぽさは影を潜め、ポップスの黄金時代になっていました。(アメリカのポップス黄金期については 2-A.ポップス黄金時代 で)


しかし、イギリスでは、ビートルズをはじめとしてヴァン・モリスン(Van Morrison)、ロン・ウッド(Ron Wood)、ミック・ジャガー(Mick Jagger)、ロジャー・ダルトリー(Roger Daltrey)、ジミー・ペイジ(Jimmy Page)、リッチー・ブラックモア(Ritchie Blackmore)、デイヴ・ギルモア(David Gilmour) など、スキッフルで音楽を始めたアーティストたちが、ここから、ブリティッシュロックの土台を作っていくようになるのです。

そして、イギリスはギターサウンドの時代に入っていきます。

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