3.イギリス-スキッフルからロックンロールへ-1955年~1960年

  1. スキッフルブーム
  2. ブリティッシュ・ロックの芽生え

3.イギリス-スキッフルからロックンロールへ-1955年-1960年前期

A.スキッフルブーム

Rock Around The Clock-Decca

アメリカでロックンロールが若者文化として爆発した1950年代中期、第二次世界大戦の深刻な不況からやっと抜け出したイギリスのヒットチャートといえば、バラードや1930年然としたダンスバンドが主流であり、刺激の欲しい若者には物足りない音楽でした。

信じられないことですが、当時イギリスではラジオはBBC(英国放送協会)のみで民放は許可されておらず、しかも、ラジオでレコードをかけてはミュージシャンの仕事がなくなる、とミュージシャンの組合がラジオでのレコードの放送が制限され、ポップスに関しては1日45分のみ許可されている、という有様でした。

イギリスの若者は「ラジオ・ルクセンブルグ(Radio Luxembourg)」というルクセンブルク大公国のラジオ電波を、アメリカのヒット曲が聴ける唯一のラジオ局として、雑音まじりの音を耳をこらして聴いていました。

そんな中、1955年10月、映画「暴力教室(Blackboard Jungle)」がアメリカで上映。
翌月、映画で使われた、ビル・ヘイリー(Bill Haley)の「ロック・アラウンド・ザ・クロック(Rock Around The Clock)」がイギリスのヒットチャート1位を8週間キープ。
アメリカから遅れて1956年7月、やっとイギリスで上映。
ロンドンでは上映している映画館がダンスホール化するほどの人気となります。

この大ヒットを受けて、ビル・ヘイリー自身も1957年にイギリスツアーを行い、彼のファッション、”ダック・テイルにラバーソール”も含め大ブームとなりました(このころ、既にアメリカではビルヘイリー人気は下火)。翌年にはバディ・ホリー(Buddy Holly)も訪英。ロックンロールの火が灯りはじめます。

Lonny Donegan

1955年の「ロック・アラウンド・ザ・クロック」のヒットを受けて、イギリスのレコード会社が同じようなビート感をもとめて、ロニー・ドネガン(Lonny Donegan)というギタリスト/バンジョー奏者に、レッドベリー(Leadbelly)の「ロック・アイランド・ライン (Rock Island Line)」を、元の音楽よりアップテンポにレコーディングさせ、リリースします。この曲はイギリスで大ヒット。

この「ロック・アイランド・ライン (Rock Island Line)」はアメリカのジャグバンド形式を取り入れたサウンドで、スキッフル・サウンド(Skiffle)と銘打って売り出したため、このヒットがきっかけで、次々と新しいスキッフルバンドがレコードをリリース。ロンドンを中心に空前のスキッフル・ブームがおこります。

そもそも、スキッフル(Skiffle)という音楽は1920年代、アメリカのジャグバンドを由来にする音楽で、洗濯板や、水差し(ジャグ-Jug)、茶箱などで作ったベース、のこぎりなどを用い、アコースティックギターや、バンジョーなどと演奏するスタイルのことで、アフリカ系アメリカ人が北部に持ち込んだといわれています。しかし、アメリカの音楽業界ではこのスキッフルという言葉は1940年には忘れ去られた呼び方でした。

The 2i’s Coffee Bar

イギリスは島国であるため、港町が多く、港町に出入りしている水夫たちが持ち帰ってくるアメリカの土産物はスキッフルブームに乗じてアメリカのレコードになっていきました。持ち込まれた最新音楽は、港町、特にリバプールの若者たちに浸透。

水夫相手のコーヒーバーもあり、そこのジュークボックスからアメリカの音楽、エディ・コクラン(Eddie Cochran)、バディー・ホリー(Buddy Holly)、エヴァリー・ブラザース(The Everly Brothers)などカントリー系のロック、リトル・リチャード(Little Richard)やチャック・ベリー(Chuck Berry)、ボ・ディドリー(BO DIDDLEY)などR&B系のロック、マディー・ウォーター(Muddy Waters)、B.B.キング(B. B. King)、などのブルースを知るようになります。

コーヒーバー(Coffee Bar)は当時のイギリスで人気のあったコーヒーを飲ませるアメリカンスタイルのバーで、いまでいうカフェのようなスタイルの店。ロンドンのソーホー地区を中心に流行。ジュークボックスも併設されており、アメリカのポップスががたっぷりと聴ける数少ない場でもありました。(レコードはまだまだ高く簡単に入手できる値段ではなかった)

The Quarry Men-vocalist:John Lennon

こうした音楽を、演奏してみたい、と思うのは世の常。弾きやすいスリーコード、高価な楽器を使わなくても演奏できる気軽なスキッフルスタイルは、イギリスの、とくに労働階級の若者を虜にしました。

スキッフルで楽器を手にした若者たちは、コーヒーバーを演奏の場として、腕を競い合うようになります。

また、当時のコーヒーバーにはミュージックバーが併設されており、今まではそこでジャズやブルースが演奏されていましたが、ブームに応じてスキッフルバンドも演奏できるようになったのでした。

こうして、かぞえきれないほどのアマチュア・スキッフル・バンドが誕生したといわれています。

2.アメリカンポップス黄金時代 1950年後期~1960年代初期 2-E.モータウン・サウンド(Motown Sound)<<


3.イギリス-スキッフルからロックンロールへ-1955年~1960年

  1. スキッフルブーム
  2. ブリティッシュ・ロックの芽生え